2006 Fiscal Year Annual Research Report
家庭場面の物理的環境整備による効果的な行動問題改善プログラムに関する研究
Project/Area Number |
16530620
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤原 義博 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (10173501)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平澤 紀子 岐阜大学, 教育学部, 助教授 (20320393)
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Keywords | 家庭場面 / 発達障害児 / 行動問題 / 物理的環境 / 事例研究 / アセスメント |
Research Abstract |
本研究は、家庭場面において行動問題が生じにくく望ましい行動が生じやすい物理的環境を整備するためのアセスメントや支援計画立案方法を明らかにするために、前年度実施した家族への質問紙調査結果に基づいた物理的環境条件を整備するための項目を適用した以下の事例研究を実施し、その結果からアセスメント項目について検討した。 事例研究(1)では、知的障害養護学校小学部4年、6年、中学部2年の知的障害児3名を対象に、家族へのニーズ調査、行動問題の生起状況、家庭生活日課活動調査を実施した。その結果から、家族のニーズが高かった「歯磨き行動」を標的行動した。家庭での歯磨き行動の行動観察と個別指導場面でのシミュレート場面における継続的な査定を行い、物理的環境条件に焦点を当てたアセスメントから家庭で家族が取り組みやすい支援方法の立案を行った。その結果、自立的な歯磨きが困難であった3名の対象児とも、歯磨き時の椅子や手順表の導入によって比較的短期間に確実に改善が見られるようになった。事例研究(2)では、家庭場面で行動問題を示す発達障害児3名(5歳、9歳、11歳)を対象に、家庭生活や行動問題の機能的アセスメントを基に、各支援場面の標的行動(排泄関連行動や調理等)とそれを促す支援方針を立案した。そして、物理的環境を整備するための項目から、家族と対象児が取り組みやすい支援方法を決定した。その結果、物の配置やピーラー等の用具の工夫と導入によって3事例とも望ましい行動は増加し、行動問題は減少した。事例研究(1)(2)とも、家族による評価からも取り組みやすい支援方法であったことが評価された。 以上の事例研究から、前年度実施した家族への質問紙調査結果に基づいた物理的環境を整備するためのアセスメントが有効であったことが示された。また、事例から各家庭の実情に応じた家族や対象児が取り組みやすい物理的環境設定を確実に選定するためのアセスメント項目と支援方法を導出する手順の検討を行い、アセスメントの試案を作成した。
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Research Products
(2 results)