2006 Fiscal Year Annual Research Report
高機能自閉症の子どもの自己認識の発達と障害受容プログラムの開発
Project/Area Number |
16530622
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
別府 哲 岐阜大学, 教育学部, 助教授 (20209208)
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Keywords | 高機能自閉症 / 自己認識 / 情動共有経験 / 認知的共有経験 |
Research Abstract |
昨年度までの、高機能自閉症の子どもに試行した、自己認識の実証的データに基づき、今年度は、健常児の自己認識のデータを収集し、その比較検討を行った。その結果、佐久間ら(2000)の健常児データとの比較と同様、他者と関わりを持とうとするかどうかで自己認識する場合の指標である、人格特性における協調性、外向性のいずれの反応を示した高機能自閉症者の割合も、健常児における反応者の割合よりは少ないことが明らかとなった。これは、高機能自閉症児が、健常児と比較した場合、他者との関係で自己を理解することに弱さを持つが、しかし小学校高学年から中学生になるところで、その弱さを発達的に改善していくことを示すものとなった。それでは、他者との関係での自己認識を促進するためには何が必要なのか。事例研究や実践分析により、仮説として、他者との情動共有経験(感覚を含め、他者と一緒に快の情動を共有できる経験)、他者との認知的共有経験(高機能自閉症児の気持ちを大人が代弁することにより、高機能自閉症児独自の思いを認知的に共有できる経験)の重要性が示唆された。あわせて、自閉症児が生涯を含めた自己認識を深めるためのワークブック("I am Special")の構造と内容を分析した。その結果、認知的共有経験を生み出すために、高機能自閉症児自身に、自他関係を射程にとらえた自己認識(他者と違うところもあれば、同じところもある、かけがえのない自分)を形成することの実践的意味が明らかにされた。
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Research Products
(2 results)