2006 Fiscal Year Annual Research Report
Psychomotorikによる車椅子活動支援プログラムの開発とその評価
Project/Area Number |
16530635
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Research Institution | THE NATIONAL INSTITUTE OF SPECIAL EDUCATION |
Principal Investigator |
當島 茂登 独立行政法人国立特殊教育総合研究所, 教育支援研究部, 総括研究員 (10311185)
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Keywords | 車いす / 活動支援プログラム / 肢体不自由 |
Research Abstract |
文部科学省の特別支援教育資料によると小中学部段階で、約75%の児童生徒が重複学級に在籍している。肢体不自由のある子どもの多くは車いすを常時移動の手段として用いている。車いすは個々の児童・生徒の障害状況や体格や体型等に併せて作られているので、肢体不自由のある子どもにとっては、安全で、安定した姿勢の保持が可能であり、リハビリテーションに使うことができる。しかし、肢体不自由のある子どもの教育場面で、車いすをリハビリテーションのツールとして使う発想がないことが本研究の調査で分かった。 今年度は脳性まひのため車いすを活用している児童に対して、車いすを使った活動支援プログラムを開発した。そのプログラムの一部を以下に紹介する。車いすを大型トランポリンに乗せ、姿勢を保持しながら、ゆっくり揺らす活動を行った。子どもは最初は不安そうにしていた。様子を見ながらゆっくり垂直性の優しい揺れを与えた。子どもの表情はやがて笑顔になり、子どもの姿勢が垂直に立ち直った。日常場面では介助により姿勢を保持し、自分で姿勢を立て直すことはあまり見られない子である。このプログラムが子どもの自発的な動きを引き出した。子どもに受け入れやすい優しい揺れが子どもの意欲と結びついた。指導者と児童のコミュニケーション関係が動きによって成立し、安定した姿勢が保持された。車いすを移動手段でなく安定した座位保持機能として用い、車いすトランポリンの優しい揺れと結びつけたこの活動は、これまでなかったニューリハビテーションの一つである。 この活動プログラムをビデオに収めて、海外協同研究者であるケルン大学のDr.Strohkendl教授にこのビデオを視聴してもらった。活動場面で見られた子どもと指導者のコミュニケーション関係は、ドイツのPsychomotorikであり、この活動プログラムの重要性を裏付ける助言があった。 今年度は最終年度であるので、これまで実施してきた車いす活動支援プログラムとアンケート調査の結果を、「Psychomotorikによる車いす活動支援プログラムの開発とその評価」として報告書にした。また、開発した車いす活動プログラムの映像資料を作成した。関係者から了解が得られれば、車いす操作プログラムと活動支援プログラムとして希望者に配布したい。本研究の成果が特別支援学校や地域活動に広く活用され、車いす利用者の活動がより豊になり、QOLの向上を期待したい。
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Research Products
(1 results)