Research Abstract |
1.表題の行列式公式とは楕円函数論(つまり,種数1のAbel函数の理論)におけるFrobenius-Stickelbergerの公式,およびKiepertの公式と呼ばれるものを,より種数の高いAbel函数に対して一般化したものを言ふ.これの一般化としては,Fayによるものが知られてゐただけであるが,筆者の発見した公式は,それとは異質なものであつて,非常に具体的であり計算可能である点が重要である.ただ,それは超楕円函数といふ特殊な場合に限られてゐた点に欠点があつた.今回の補助金の利用により, (1)上記の超楕円函数の場合を種数3と一般の場合について,それぞれ一編づつ(計2編)の論文として発表した(種数2の場合は前回の科研費補助金により,発表済). (2)購入にしたcomputerを利用しての数値例を計算,および,旅費支給で得た各地の研究者との議論の機会を通じて,この公式をpurely trigonal曲線と呼ばれる別の曲線に対するAbel函数に対して一般化する方向に目処が付いた.その結果は,すでに筆者のWeb pageと世界規模の論文serverで公開中である. 2.Bernoulli数といふのは種数0の函数についてのLaurent係数に他ならならず,それは数論で非常に重要な数である.表題のBernoulli-Hurwitz数といふのは,HurwitzがBernoulli数を種数1に一般化したものを指す.しかるにその後,種数2以上の場合に対する成功例はなかつたのであるが,筆者は,これの非常にすぐれた形での拡張を発見した.今回の補助金により,その一部が未完であつた証明を安田正大氏(京大数理研)らの協力を得て,完成させることができた.また,静岡大学でこれの発表等を含めた集会を開催し,その報告集も作成した.詳しい解説を論文として,これに掲載し配布した. 3.研究分担者の尾台氏は,上記の成果の細部に渡つて議論およびcheckをした.
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