Research Abstract |
本研究の目的は,可換環R上のn-変数多項式環R^<[n]>のR部分環Aに関する次の問題を考察することであった. (1)AがR上有限生成となるための条件を求めること (2)AがR上有限生成のとき,AがR上の多項式環,またはR上のA^<[r]>-fibrationとなるための条件を求めること. このうち,最初の問題については,海外共同研究者のAmartya K.Dutta氏のもとに赴き,Rが離散付値環でn=1の場合について詳しく調べ,AのR上の閉ファイバー環がRの剰余体上に有限生成となるための条件を求めた.次いで,素元分解整域R上の1変数多項式環のネーター部分環Aについて考察し,AがR上有限生成となるためのひとつの充分条件を与え,その条件のもとでAの整閉包がR上の多項式環になることを示した.さらに,問題(2)との関連で,素元分解整域R上忠実平坦な整域Aであって,AのR上の生成ファイバー環および余次元1のファイバー環がすべて1変数多項式環であるようなものについて考察し,AがR上有限生成になるための必要充分条件を与え,さらにそのときAはR上の1変数多項式環であることを示した. 問題(2)については,上述のとおり,Dutta氏との共同研究でも一定の成果を得たが,富山大の浅沼照雄氏と次のような問題についても研究した: 体K上の1変数代数関数体K(x,y)の付値環VがKの付値環R上にあるとする,Rの剰余体をkとするとき,k上1変数代数関数体としてのVの剰余体の構造を調べよ. これについては,Vの剰余体の一般的な性質を調べた後,K(x,y)がy^2=x^n+ax+bで定義される超楕円関数体の場合を詳細に考察し,この場合,高々一つの例外を除いてVの剰余体はk上の1変数有理関数体になることを示し,さらにその例外が起こるための必要充分条件と,そのときの剰余体の定義方程式を与えることに成功した.
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