2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540025
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中山 昇 京都大学, 数理解析研究所, 助教授 (10189079)
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Keywords | トーリック多様体 / 複素トーラス / ホッジ構造 / ファイバー空間 |
Research Abstract |
今年度の研究はもともと意図していた,トーリック束の部分コンパクト化と複素トーラスの基本ファイバー空間の構成については,あまり進展はなかった,しかし,数年来の研究をまとめて今年度出版した本「Zariski-decomposition and abundance」の準備過程で,いくつかトーリック多様体についての考察が必要になり,結果としてこれが本研究課題「トーラス埋め込みファイバー空間」に結びつく成果を挙げた.とくにトーリック束について,非常によくまとまった記述ができた.そしてそこに述べられているトーリック多様体上のトーリック束が再びトーリック多様体になることの証明には,トーリック束の部分コンパクト化の研究へのヒントが隠されていると思う. また,2年目以降の研究計画に述べた事柄:(1)普遍被覆空間がアフィン空間となるコンパクトケーラー多様体;(2)非自明全射自己準同型射をもつ複素多様体についての進展があった.(1)については,基本群がアーベルに近い場合は複素トーラスを有限不分岐被覆に持つという定理の簡単な証明や,複素トーラスのファイバー空間が滑らかになるための条件と普遍被覆がスタインであることを結びつける定理などが得られた,(2)についてはトロイダル群のコンパクト化となる非自明全射自己準同型射をもつ非ケーラー複素多様体の例を見つけた. また,ホッジ構造の変動についてのシュミットの論文を読むセミナーを岐阜大の藤本圭男氏と行い,冪零軌道定理などの理解を深めた.
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Research Products
(2 results)