2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540025
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中山 昇 京都大学, 数理解析研究所, 助教授 (10189079)
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Keywords | トーリック多様体 / 複素トーラス / ホッジ構造 / ファイバー空間 |
Research Abstract |
今年度の実施計画の(1)に書いた,複素トーラスを有限次不分岐被覆にもつ多様体を一般ファイバーに持つファイバー空間については,そのファイバーの近傍の普遍被覆空間が正の次元のコンパクト解析空間を含まないとき,ほとんどスムーズ射に近いものになることを示した.ここでは複素トーラスの双有理同値類の小平次元,不正則数による特徴付けが本質的に使われた. もう一つ(2)に書いた,トーリック多様体上定義された楕円ファイバー空間で,トーラス部分上滑らかなものの局所相対的極小モデルを構成することについての研究はほとんど進展がなかった. 一方,偶然のきっかけから,指数2の対数的デルペッツォ曲面の分類に興味をもつようになり,これを精力的に研究した.この曲面の分類については10数年前のアレクセーフとニクーリンによるK3曲面の格子理論を応用として得られたものがあったが,幾何学的な記述ではなかった.今回の方法は指数2の対数的デルペッツォ曲面の最小特異点解消を射影平面などからのブローアップとして具体的に記述するもので,幾何学的であるしK3格子は使わない.かつて正規4次曲面の分類で使った因子の分離という方法をある種のゼロ次元部分スキームの消去という方法に一般化し,それを使って上記ブローアップを記述した.消去はトーリック多様体の幾何学では自然な操作であり,また指数2の対数的デルペッツォ曲面を重み付き射影空間などに部分空間として埋め込み,その定義方程式を決定するのだが,その際にもトーリック多様体の扇の記述が役に立った.このようにこの分類方法はトーリック幾何に深く関係する.
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Research Products
(1 results)