2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540048
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
長岡 昇勇 近畿大学, 理工学部, 教授 (20164402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 脩蔵 近畿大学, 理工学部, 教授 (80025410)
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Keywords | 整数論 / 保型形式 / 数論幾何学 |
Research Abstract |
この研究期間における主な研究目標は、以下の2点であった。 (1)多変数保型形式の典型的な例である、ヒルベルト モジュラー形式やジーゲル モジュラー形式等にたいして、そのmod pでの性質を明らかにしていく。 (2)上記の多変数モジュラー形式に加えて、エルミート モジュラー形式等のp進的な性質を解明する。 これに対して得られた成果は以下のようである。 (1)2次のジーゲル モジュラー形式の標数pの有限体上のモジュラー形式のなす代数の構造は、素数pが5以上の場合は、われわれの以前の研究によって決定されていたが、この期の研究により、残されていたpが2と3の場合に決定された。この結果は、主要研究誌であるMathematische Zeitschrift誌に掲載された。また、判別式が5と8の実2次体に対するヒルベルト モジュラー形式に対しても同様の構造定理を得、Revista Math. Iberoamericanaに投稿、掲載が認められた。 (2)モジュラー形式の持つp進的な性質は一変数の場合は、Serre等によって研究され、多くの実りある結果を生み出した。ところが、多変数の場合の研究は多くの困難があり、なかなか研究が進まなかった。われわれは前研究において、ジーゲル モジュラー形式の場合にいくつか興味深い結果を示したが、これが、ジーゲル モジュラー形式に固有のものか、または多変数のモジュラー形式全体に成立するものか解明できなかった。この期の研究により、エルミート モジュラー形式と呼ばれる多変数モジュラー形式にも同様の事実が成立することが確かめられた。この成果は論文にまとめられ、Proc.Amer.Math.Soc.に投稿され、掲載が認められている。現在この結果の更なる拡張が得られる見通しが立ち、最終年度の研究目標のひとつとなった。
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Research Products
(4 results)