2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540062
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高村 茂 京都大学, 大学院・理学研究科, 講師 (20362436)
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Keywords | リーマン面の退化 / 分裂変形 / 特異点 / モノドロミー / 複素構造の変形 / 複素曲面 / モジュライ空間 / テータ関数 |
Research Abstract |
リーマン面の退化の分裂族において,元の特異ファイバーは2種類の特異ファイバー(主要ファイバーと付随ファイバー)に分裂するが,このうちの付随ファイバーの研究を詳しく行なった。特筆すべきは新しい結果としては付随ファイバー上の特異点の個数を表す公式を得たことや,更に特異点の位置が古典的な関数リーマンのテータ関数から作られるある種の多項式の零点と関わっていることを示したことが挙げられる。特に後者のリーマンのデータ関数と付随ファイバー上の特異点の関係は,リーマン面の退化の分裂族という比較的新しい研究対象が,非常に古典的な関数の零点と密接な関係をもっているということを提示したという点で画期的である。また,更に深い結果として、上記の多項式(つまりリーマンのテータ関数から作られた多項式)の零点の位数は、付随ファイバー上の特異点の「型」を本質的に決めていること,たとえば極端な場合として,この多項式が単純根のみをもつときは,付随ファイバー上の特異点はすべからくノード(結節点)であることや(これは特殊なばあいに栗田氏により示されていた),この多項式がただ1つの根しかもたないばあいは,付随ファイバー上の特異点はただ1つのA型特異点になること,などを示した。ダイナミックな力学系的な視点,すなわち特異点のモース化の立場からいうと,上の2列の前者(ノードのみをもつ場合)は,後者のA型特異点をモース化して得られるという点で興味ぶかい。
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