2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540075
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小林 治 熊本大学, 大学院自然科学研究科, 教授 (10153595)
|
Keywords | 共形微分幾何 / アファイン接続 / 射影微分幾何 / リッチ曲率 |
Research Abstract |
「共形微分幾何に関する研究」が研究課題名であるが,本年度は,射影微分幾何,あるいはアファイン微分幾何に関する研究を行った.交付申請書に記載した研究の目的のうち,2.負のリッチ曲率をもつアファイン接続の存在,に関する部分的な成果および付随する成果を得た.まず第一に, 負のリッチ曲率を持つアインシュタイン計量のリーマン接続を,アファイン接続の言葉のみで,すなわち,アファイン微分幾何の世界で,変分問題により特徴付けられることを示した. この結果から負のリッチ曲率をもつ接続の存在問題の位置づけがより明確になったと考えられるが,肝心の存在問題は今後の検討課題である.第二の結果として, 共形構造あるいはメビウス構造の与えられた空間の中の正則曲線には射影構造が導かれること.また,特にこの曲線が球面上に与えられているとき,射影構造で定まる展開写像が単射であれば,曲線自身も単射である,すなわち自己交点を持たないことを示した. この結果は,共形微分幾何が射影微分幾何,あるいはアファイン微分幾何と深い関係にあるという研究代表者の考えのひとつの現れである.定理としては,展開写像の単射性と言う内在的な条件と,曲線自身の単射性という外在的な条件が関連しているという点で興味深いと思う.また,共形空間の中の曲線,つまり1次元の図形に射影構造が導入されるということは,射影構造の与えられた空間の中の超曲面,つまり余次元1の図形に共形構造が導入できるという,知られた結果と双対的になっていることも興味深いと思う.
|
Research Products
(3 results)