2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540102
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
原 隆 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (20228620)
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Keywords | レース展開 / 臨界現象 / くりこみ群 / 階層モデル / 自己回避ランダムウォーク / パーコレーション / 2点関数 |
Research Abstract |
統計力学における臨界現象の厳密な解析に欠く事の出来ない武器であるくりこみ群とレース展開について,具体的なモデルの解析を通して,その深化を目指す研究である.今年度は昨年度に引き続き,以下の2点に注力した,特筆すべきは2であって,ここ数年の難関を漸く解決することができた. 1.昨年度の時点で自己回避ランダムウォーク,パーコレーションなどの臨界点での2点関数について,その距離による減衰を非常に詳しく調べ,高次元では考えうる最良の結果を得た.今年度はこれを論文にまとめてAnnals of Probabilityに投稿し,refereesから非常に高い評価を得た.現在,最終バージョンを準備中である. 2.ランダムクラスターモデル(p-q model)の臨界現象の解明,特にレース展開を用いた解明を行った.この課題は東工大大学院生の為永恵太氏との共同研究であるが,この2年ほど,不可欠の相関不等式が証明できずに苦しんでいたものである.今年度,様々な試行錯誤の後に漸く,必要な相関不等式(van del Berg-Kesten型のもの)を証明する事に成功した.これは今年度の大きな成果であり,解析に必要な道具はすべてそろったことになる.そのため,過去に解析したパーコレーションなどと同等のレベルの,非常に詳しい解析が行えると期待できる.現在,この新しい不等式を用いて,臨界現象の解析が進行中である. なお,昨年度に引き続き,学習院大学の田崎晴明氏との共著(イジングモデルの臨界現象に関するもの)の執筆もかなり進んだことを付記する.
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