2006 Fiscal Year Annual Research Report
種々の非有界領域における非圧縮粘性流の安定性の数学解析
Project/Area Number |
16540143
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
菱田 俊明 新潟大学, 自然科学系, 助教授 (60257243)
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Keywords | 非圧縮粘性流 / 安定性 / Navier-Stokes方程式 / Stokes方程式 / aperture領域 / 外部領域 / 回転物体 / 漸近挙動 |
Research Abstract |
非圧縮粘性流体の運動を記述する非線型偏微分方程式として知られるNavier-Stokes方程式の解の安定性を,2種類の重要な非有界領域,すなわちaperture領域と回転物体の外部領域において考察するのが本研究の目的であるが, 18年度は17年度に引き続き3次元外部問題を主に扱った.回転座標系により一定な外部領域での問題に書き直すとき,剛体の回転運動をあらわす非有界係数をもつ移流項が現れ,これを粘性項からの摂動として扱うことはできない. この点をいかに克服するかが,数学解析のポイントである. まず全空間と外部領域の両方で線型定常問題を考察し,外力がL_q関数の発散型であるとき,流速の1階微分と圧力のL_q空間でのアプリオリ評価を示した.しかし,非線型のNavier-Stokes方程式を解くには,Lorentz空間での解析を要する.そこで,最も重要な弱L_3/2を含むLorentz空間での外部線型定常問題の解の存在・一意性・評価を証明した.また実際にそれを用いて,回転角速度と外力が小さい場合の定常Navier-Stokes流を構成した. 次にその定常流の周りで,弱L_3の属する小さい初期撹乱を与えて,非定常Navier-Stokes方程式の時間大域解を一意的に構成した.結果として,その定常流の安定性が示された.最も本質的であったのは,上記の移流項を伴うStokes作用素が生成する半群のL_p-L_q型の減衰評価を確立したことである.鍵となるステップはresolventの種々の漸近挙動から半群の局所エネルギー減衰を導出する部分であるが,半群が解析的でないために,この問題の特徴に密着したスペクトル解析とcut-offテクニックによる証明が行われた.
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Research Products
(4 results)