2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540150
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
内田 素夫 Osaka University, 理学研究科, 准教授 (10221805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西谷 達雄 大阪大学, 理学研究科, 教授 (80127117)
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Keywords | D加群 / 境界値問題 / 超局所解析 |
Research Abstract |
楕円型微分方程式系の境界値問題をD加群のことばで定式化し、その超局所オイラー類(特性サイクル)を構成するところまで、所期の目的は(技術的な部分を除いて)ほぼ達成できたと考えられる。以下にそのアイデアの概略を述べる。 境界付き多様体上の楕円型微分方程式系Mを考える。Mの境界への引き戻し(接方程式系)M_<tan>を考え、境界上の微分方程式系NとD_Y-準同型α:N→M_<tan>があるとする。(D_Yで境界上の微分作用素のなす環を表わす。)この境界値問題が楕円型であるとは、αがε_Y〓Nからε_Y〓M_<tan>のある連接剰余加群M+tan(実際には直和因子になっている)への同型を引き起こすことであると定義する。考えている境界値問題が古典的なSchapiro-Lopatinski条件を満たしている場合は、上の意味で楕円型である。このままだと通常の代数的な扱いが難しいので、何らかの環の上の加群(の導来圏の対象)としてこれを捉えたい。そのために環BDをD_x〓D_Y→x〓D_Yと定義してBDについて双対をとると、Bをある2次の行列環として、環D_x〓B上の加群の導来圏D^b(D_x〓B)の対象B(M,N)が得られる。一方、定数層の対(Z_M,Z_N)からZ_x〓B加群の層B(Z_M,Z_N)が得られるが、この2つの対を考えることで、Lefschetz-Grothendieck-Kashiwaraの対角線の方法によって、(M,N)が楕円型であるという条件のもとで(超局所)オイラー類が定義されると思われる。ここで定義したオイラー類による指数定理の記述については、構成が自然なことから、通常の図式追跡でうまく証明できる(はずであると予想される)。
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