2004 Fiscal Year Annual Research Report
双曲系の大きな初期値を伴う初期値問題に関する適切性理論の構築
Project/Area Number |
16540153
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田中 直樹 岡山大学, 理学部, 助教授 (00207119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅倉 史興 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (20140238)
松本 敏隆 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20229561)
佐藤 亮太郎 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (50077913)
田村 英男 岡山大学, 理学部, 教授 (30022734)
勝田 篤 岡山大学, 理学部, 助教授 (60183779)
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Keywords | semigroup of lipschitz operators / Chernoff's product formula / comparison function / infinitesimal generator / abstract Cauchy problem / subtangential condition / dissipativity condition / integrated semigroup |
Research Abstract |
1.リプシッツ作用素半群の収束定理,近似定理の研究 非線形抽象微分方程式の適切性(=解の存在と一意性及び解の初期値に関する連続依存性)の条件に着目して非線形半群論を展開するという着想で始めた結果として,リプシッツ作用素半群の概念が誕生した。偏微分方程式の解を数値解析的に求めようとするときに生じる収束性の問題を位相解析的に定式化したものが,作用素半群の収束定理,近似定理である。(1)リプシッツ作用素半群の収束定理を得ることに成功し,得られた理論を,線の方法(method of line)による,消散項を伴う準線形波動方程式の数値解法に適用した。(2)リプシッツ作用素半群に対するChernoffの積公式を考察し,得られた結果を,粘性を伴うKirchhoff方程式に対するLax-Friedrichs差分スキームの収束性の問題に応用した。 2.Integrated semigroupsの生成定理の研究 抽象自励系微分方程式のHadamardの意味での適切性(=解が初期値に,初期条件が本来のノルムより強いノルムで測られるとき,連続に依存する意味の適切性)の概念は,Lionsによるdistribution semigroupsの概念と結びつき多くの研究があった。Regular distribution semigroupの生成素は,稠密な定義域を持ち,このとき,局所リプシッツ連続なintegrated semigroupの生成素と一致する。しかし,Regular distribution semigroupの生成素の全体は,局所リプシッツ連続なintegrated semigroupの生成素の全体の真部分集合である。連続関数空間において混合問題を考察する際,境界条件の影響により,考えている:方程式から自然に定まる生成素は,必ずしも稠密な定義域を持たない。このような動機のもとに,局所リプシッツ連続なintegrated semigroupの生成素の特徴づけについて考察した。
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