2005 Fiscal Year Annual Research Report
非相対論的量子電磁気学の高エネルギー領域における作用素解析学的研究
Project/Area Number |
16540155
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
廣川 真男 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (70282788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣島 文生 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教授 (00330358)
田村 英男 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (30022734)
佐藤 亮太郎 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 教授 (50077913)
田中 克己 岡山大学, アドミッションセンター, 助教授 (60207082)
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Keywords | 非相対論的量子電磁気学 / 作用素解析 / 紫外特異 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き。本年度も非相対論的量子電磁気学の高エネルギー領域のいくつかの問題に注目し、廣川が物理から数学に問題を定式化し、それらの問題に取り組んだ。廣島の研究により、本来相対論的であるべき量子電磁気学と、それを電子のエネルギーの割合低い方へ近似した理論である非相対論的量子電磁気学との違いが、くり込まれた電子の質量に見られることが証明された。この廣島の結果は、電子の質量に関して非相対論的量子電磁気学は閉じた理論とならないことを示唆している。量子電磁気学では光子の作る場は相対論的であるため、この量子場は高エネルギー領域を持ち、場の量子論では紫外切断を入れ、あるところから下のエネルギー領域の光子のみを考えることでこの紫外発散を避ける。この紫外切断を段々大きくし切断をはずす方向に移行すると、光子場の高エネルギーが電子にどう影響するかを考慮しなくてはならなくなる。この研究を廣川と廣島がSpohnの協力を得て行った。ここで3人で扱った模型は、この理論にある近似を用いたもので、この結果からさらに踏み込み、廣川とSpohnはHainzlの協力を得て、量子場と相互作用した電子の基底エネルギー(従って、電子のくり込まれた質量)は、物理において量子電磁気学では摂動論が有効であることを、数学として非摂動論的に導いた。また、さらに廣川は田村と共に非相対論的量子電磁気学における散乱、田中と共に紫外発散の特異性、また佐藤と共に基底状態の一意性に関して研究を行った。
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Research Products
(3 results)