2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540156
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
川下 美潮 広島大学, 大学院理学研究科, 助教授 (80214633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
盛田 健彦 広島大学, 大学院理学研究科, 教授 (00192782)
池畠 良 広島大学, 大学院教育学研究科, 助教授 (10249758)
曽我 日出夫 茨城大学, 教育学部, 教授 (40125795)
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Keywords | 表面波 / 散乱理論 / Rayleigh波 / Lax-Phillips / scattering kernel |
Research Abstract |
この研究における目標は最近我々によって得られた弾性表面波(主に弾性体の境界土に沿って伝わっている波のこと)に対する散乱理論の定式化を踏まえた土で、弾性表面波のより詳しい性質を数学的に解析することにあった。大きく分けて次の観点から考察することを計画した。 (1)弾性表面波の散乱現象を記述する量(散乱核)の具体的な表示について。 (2)弾性表面波の散乱を境界面土の双曲型方程式の散乱問題と見なす方法について。 (3)弾性表面波のエネルギーの伝わりかたについて。 平成16、17年度の研究成果により(1)についてはほぼ解決し、(2)についてはエネルギーの高い波に限定すれば弾性表面波の散乱問題を境界直土の双曲型方程式の散乱問題と見なせることを大筋で確認した。本年度はこの部分についての細部を検証し、証明を完成させることができ、次のことが明らかになった。 (1)散乱核のうち弾性表面波の散乱現象を記述していると考えられる部分に対する表示公式から表面波が伝わるという現象に直結した具体的な表示を得た。 (2)散乱核の特異性が持つ情報を引き出すための表面波の近似解を構成した。 (3)(2)の近似解を用いて散乱核の特異性が持つ情報を引き出すための考察を行い、(2)で予想した波の特異性の伝播が散乱核に与える影響という観点からの類似性を示した。 (4)(3)の考察中に現れた既存の理論では扱いにくい振動積分に関する精密な評価を得た。結果においては(2)の見方で弾性表面波の散乱問題を捉えることができることが分かった。しかし、細かい点まで踏み込んで考えれば、表面波の散乱と境界土の波動方程式(2階双曲型方程式)に対する散乱理論との違いが明らかに現れた。表面波と全体との関係がやはり重要であり、弾性表面波の散乱固有の解析が必要となることが明らかになった。 (3)については低周波部分が持つエネルギーに関する考察を行った。若干の結果は得たが、エネルギーについては全ての周波数を考える必要があり、まだ解決すべき課題は多いのが現状である。
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Research Products
(5 results)