2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540167
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
松本 和子 大阪府立大学, 総合教育研究機構, 助教授 (60239093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 孝 大阪府立大学, 総合教育研究機構, 教授 (20089957)
吉冨 賢太郎 大阪府立大学, 総合教育研究機構, 講師 (10305609)
大内 本夫 大阪府立大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (70127885)
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Keywords | 多変数関数論 / ケーラー多様体 / 擬凸領域 / レビ形式 / レビ平坦曲面 |
Research Abstract |
Kahler多様体Mの擬凸部分領域D上の関数論と、Dの境界Sの微分幾何学的な性質との関連を、与えられたKahler計量から決まるSまでの距離関数のLevi formの研究を通して明らかにすることがテーマである。 昨年度は、曲率非負のKahler多様体の最も簡単な場合として、まずn=2の場合に、C^nの滑らかな境界Sを持つ弱擬凸領域DがSteinになるための条件を求めた。その際、Sまでの距離関数のLevi formが至る所退化するための必要条件を与えた部分が重要で、結果の応用もあった(結果は論文として公表済み)。今年度は、その結果を一般次元の場合に拡張することを主な目標にし、境界Sの定義関数だけではなく、より幾何学的な情報に着目して研究を行った。昨年度の研究は、手法的にはrealで式を導いた後にcomplexに直すという強引なものであったので、とりあえずの結果を得たものの一般次元に対する見通しは良くない。そこで、今年度は複素解析的な研究を行い、一般のn次元の場合に、C^nの実超曲面Sまでの距離関数のLevi formを、Sの定義関数を用いてexplicitに書き表すことができた。結果は、実超曲面Sの実接平面と複素接平面の両方の情報を含むものであり、興味深い。しかし、今のところ、特別な座標系でのみしか記述できておらず、例えば、Sの補集合がSteinになるための条件を求めるといった応用につなげることは、まだ難しい。一般的な座標で、Levi formの公式をSの条件で書き表し、Sの補集合がSteinになるための条件を求めること、さらには、一般のKahler計量の場合に結果を拡張し、Kahler多様体Mの擬凸部分領域DがSteinになるための条件を、距離関数のLevi formの研究を通して特徴づけることが、次の課題である。
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