2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540180
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山ノ内 毅彦 北海道大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (30241293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 晶孝 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (00128597)
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Keywords | カルタン環 / 因子環 / 測度付き同値関係 / 正規化擬群 / 通約可能擬群 |
Research Abstract |
本年度は、カルタン環を含むような因子環A内の部分因子環に注目した研究を行った。与えられた部分因子環Bに対し、Bの通約可能擬群と呼ばれる、Aの(ある性質を持った)部分等距離作用素からなる集合を導入した。この通約可能擬群は、前年度の研究において考察した正規化擬群を含むような集合である。この新しく導入した集合に対し次のような興味深い結果を得ることができた。1つ目の結果は、Bの通約可能擬群から生成される因子環をCとすると、包含関係(B, C)はIzumi-longo-Popaの意味で常に「離散的」になっているというものである。これにより、任意の部分因子環Bに対し、それを含むような部分因子環Cで(B, C)が離散的包含関係になるような最大の部分因子環Cが常に存在することを証明することができた。2つ目の結果は、Aに対応する測度付き同値関係をR、最初に与えられた部分因子環Bに対応する部分同値関係をS、上のように構成される部分因子環Cが定める部分同値関係Tとするとき、TはSにとって群論で呼ぶところの通約可能群に相当するものであることを明らかにしたことである。これにより、群論(保型関数論)におけるヘッケ環の概念を測度付き同値関係のレベルまで拡張できるのではないかという、新しい分野の可能性を示すことができた。 前々年度の研究と関連して、上のような状況におけるBの正規化擬群の生成する部分因子環の研究も本年度も継続して行った。以前の研究では、測度付き同値関係における「正規性」の概念を作用素環論的に特徴付けることに成功したが、本年度では、全く別のアプローチによって正規性を作用素環的に特徴付けることができた。このアプローチの長所として、上で述べた正規化擬群と通約可能擬群が統一的に捉えることができることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)