2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540181
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岸本 晶孝 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 教授 (00128597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 朝雄 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (80134807)
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Keywords | Cスター環 / 内部近似的 / グラフ極限 / コンヌスペクトル / ローリンの性質 / キルヒベルグ環 / クンツ環 / K理論 |
Research Abstract |
統計力学モデルに現われるCスター環上の流れは、エネルギーが観測可能という事実より、内部的に近似可能であるとされている。しかし、その近似列の選び方に自然な方法はなく、どれほどの意味で近似できるかもわかっていない。そういう不分明な状況を明らかにすることを目標として次の結果をえた。流れの生成作用素である非有界微分が内部的微分(多くの場合有界微分と同等)で近似できるというとき、一般論からは、グラフ極限を使用するが、ときに、概念的易しさと多くの例に触発されて、ある核のうえでの各点極限を使用する。ここで「ある核」という但し書きをはずすことができないことは一般に信じられてきたと思うが、これを明確に示した。この点、たとえばヒルベルト空間上の非有界自己随伴作用素が有界作用素で近似できる、ということとは大いに違う。 上の状況とは対極にあるローリンの流れについて、その存在を、キルヒベルグ環といわれるクラスの環すべてに対して示した。(すべてとはいっても、このクラスの環はK理論を用いて分類可能であり、その分類理論を用いて、いわゆる無限大型のクンツ環に対して示すことで達成される。)なお重大な問題が残っている。この環にはトレースは存在せず、この種の流れに対してはKMS状態も存在しない。要するに、(それほど特異でないCスター環に対する)分類理論では不変量としてK理論とトレース空間が使われるが、この場合、K理論しか候補となるものは存在しない。流れの場合にこれを援用すると、KMS状態が存在しないので、やはりK理論しか存在しないと思われる。よって、すべてのローリン流れが互いに摂動を除き共役になることが予想される。これについては限定された流れのクラスに対してのみ示した。
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Research Products
(3 results)