2004 Fiscal Year Annual Research Report
楕円量子群及びD型変形W代数によるバクスターの8頂点模型の解析
Project/Area Number |
16540183
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白石 潤一 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (20272536)
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Keywords | 8頂点模型 / 可換な積分作用素 / マクドナルド型差分作用素 / 相関関数 / 楕円型量子群 / 超幾何級数 / 変換公式 / 和公式 |
Research Abstract |
本研究において、バクスターの8頂点模型の相関関数を記述するための積分表示式と、ある量子可積分系の対応が新しく見いだされた。本研究者のこれまでの研究によって、8頂点模型の相関関数はある種の多重積分表示を持つことが示されて来たのであったが、本年度の研究においては、その積分作用素によって可換な作用素の族が生成されることを発見した。また、その可換な作用素の族について十分に理解することが研究の中心を成した。要約すれば、以下のような結果が得られた。 1.可換な積分作用素の固有関数。積分変数が4以下の場合に、ある種の(多変数)超幾何型級数を用いて固有関数を具体的に構成することが試みられた。 2.積分作用素の可換性と超幾何級数の変換公式および和公式。積分変数が2つの場合には、超幾何級数の様々な変換公式および和公式を用いて積分作用素の可換性を証明することができた。可換な作用素の存在が超幾何級数の変換公式等に依拠しているような状況は恐らくこれまで知られていなかったものと思われる。 3.積分作用素とマクドナルド型差分作用素の可換性。積分作用素の固有関数を具体的に求めた後に、それがあるマクドナルド型差分作用素のそれと類似しているという現象が(本研究者の経験から)認められた。その原因を求めるうちに、この積分作用素とマクドナルド型差分作用素が可換であるという予想が確からしいものであるという結論が得られた。 4.積分作用素の概固有関数。固有関数に類似する級数表示をもつようなある級数(ここでは仮に概固有関数と呼んでおく)を導入した。この概固有関数が多くの種類の無限積表示を持つことを議論した。それの特殊値を用いれば8頂点模型の相関関数が記述されるであろう、と予想される。まだ未証明の部分も多いが、細部がつめられすべて達成されれば本研究の最終的な目標に到達できる。
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Research Products
(2 results)