2005 Fiscal Year Annual Research Report
楕円量子群及びD型変形W代数によるバクスターの8頂点模型の解析
Project/Area Number |
16540183
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白石 潤一 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (20272536)
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Keywords | マクドナルド多項式 / 超幾何級数 / 8頂点模型 |
Research Abstract |
変形ビラソロ代数及び、変形W代数の表現論を用いたバクスターの8頂点模型の代数解析的な手法を目標として研究し、以下のような結果を得た。 (1)8頂点模型の相関関数を記述する積分表示が、変形W代数の表現論を基にある発見法的な議論を用いることで予想された。そのために、様々な型の変形W代数の表現を、変形パラメータが1の巾根の近傍にある場合に考える必要が生じ、いくつか技術的に解決すべき点が生じた。その研究は現在進行中である。 (2)上述の積分表示の構造について研究し、隠された可積分性及び、マクドナルド対称多項式との関連が見いだされた。以下、この2点について説明する。 (3)あるスペクトル変数に依存するn重積分作用素が互いに可換であることが予想された。この積分作用素が8頂点模型の頂点差要素の行列要素を記述する演算子であることに注意すれば、「積分公式の(予想の)背後には8頂点模型の可積分性とは直ちには関連づけられないような隠された可積分性が存在する」ことになる。最も簡単な場合n=2について、いくつかの超幾何級数の和公式と変換公式を用いて積分作用素の可換性を証明した。 (4)このn重積分作用素が、少し修正されたマクドナルド差分作用素と交換することが予想された。この予想は、n=2,3,4の場合の固有関数の具体形を比較することで得られた。8頂点模型の隠された対称性を記述する手だてとしてマクドナルド理論が適用できるのではないかと考えられる。 (5)修正されたマクドナルド差分作用素の、形式級数の空間の上での対角化について研究した。その応用として、マクドナルド対称関数を、超幾何型のある級数として与える式を予想した。パーティションが2行の場合この予想が、ジン・ジョセフィアックの公式と一致すること、3行の場合にはラッサール・シロッサーの結果と一致することが示された。
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Research Products
(1 results)