2006 Fiscal Year Annual Research Report
楕円量子群及びD型変形W代数によるバクスターの8頂点模型の解析
Project/Area Number |
16540183
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白石 潤一 東京大学, 大学院数理科学研究科, 助教授 (20272536)
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Keywords | 8頂点模型 / 変形W代数 / マクドナルド多項式 / 超幾何級数 |
Research Abstract |
変形W代数の表現論を用いてバクスターの8頂点模型の相関関数の積分表示公式を導出することを試みた。8頂点模型のパラメータが自然数でパラメトライズされるある特殊な系列に関しては、B型もしくはD型の変形W代数の表現論を用いて8頂点模型の半無限転送行列の作用する状態空間を実現することができるという予想を得た。その議論は凡そ次の通り。リー代数のランクをnとする。非常に特別な表現を選べば、その空間のキャラクターが8頂点模型の空間のそれと一致し、しかも変形W代数の表現の間の同型写像がn重の積分の形に表示されることがある。同時にそれは8頂点模型の頂点作用素の満たすべき交換関係を満足していると予想される。この予想を認めれば、自由場表示の技術によってただちに相関関数の積分表示公式を得る。 じつは、この積分表示公式には非常に優れた可積分構造が隠されていた。リー代数のランクをn、挿入される頂点作用素の個数をmとするとき、積分公式はmn重の多重積分となる。これは自然にあるm重秋分作用素を特定のベクトルにn回作用させたものとみなすことが出来る。ここに現れる積分作用素は、実はマクドナルド差分作用素の作用と交換する。したがって、8頂点模型の相関関数の構造はマクドナルド理論を通じて理解すべきである、という方針が明らかになった。 次に、その積分作用素ないしマクドナルド差分作用素の対角化の問題をほぼ解決した。ただし、それらが作用する空間は、通常扱われている対称多項式の空間ではなく、ルート系の正の角領域にサポートを持つような多変数形式巾級数の空間としなければいけない。この場合、現れる固有関数をある種の多変数超幾何級数とみなすことが出来る。この級数が、マクドナルド対称多項式の昇降演算子表示と密接に関わっていることが示された。さらに、その級数の具体的表示を予想した。
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Research Products
(1 results)