2005 Fiscal Year Annual Research Report
非線形発展方程式系に現れるパターンダイナミクスと相互作用について
Project/Area Number |
16540200
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
栄 伸一郎 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (30201362)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳田 英二 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80174548)
藤井 一幸 横浜市立大学, 国際総合科学研究科, 教授 (00128084)
白石 高章 横浜市立大学, 国際総合科学研究科, 教授 (50143160)
水町 徹 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教授 (60315827)
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Keywords | 反応拡散方程式系 / パルス相互作用 / 界面ダイナミクス / フロント進行波解 |
Research Abstract |
今年度の当初目的の1つであった反応拡散方程式系のフロント解に対し,そのダイナミクスを詳細に調べるためのさまざまな解析結果を得ることができた.これに関しては,これまで著者により,フロント進行波解やパルス進行波解及びそれらの相互作用を調べるための一般論が開発されていたが,実際に適用するためには固有関数の具体形などの情報を解析的に得ることが必要である.しかしそれは殆どのモデル方程式系に対して現在の解析手法を持ってしては不可能であり,数値シミュレーションの併用が必要不可欠であった.それに対して全ての必要情報を解析的に得ることのできる例を与えることにより,数値シミュレーションだけでは分からない,より詳細な運動を調べることを可能となった.具体的には特殊な非線形項を持つモデル方程式系を考えることにより,フロント解とその分岐構造を完全な形で得ることができた.また分岐点における固有関数や共役作用素の固有関数なども特異摂動理論を用いることにより高い精度の近似まで具体的に構成した.こうした情報を用いることにより,まずフロント解及びそれらの相互作用を記述する運動方程式を陽に書き下すことができた.つぎにそれらの応用として,不均一媒質中のフロントの運動を考察した.ここではより具体的は運動の解析を行うために,最も単純な階段型の不均一性を考察したが,結果として,フロントの速度を速める効果しか持たない不均一性を入れたにもかかわらず,フロントが不均一性に反射して逆走する可能性があることが理論的に示された.これは力学系的には,正方向に進行するフロント解の吸引領域が不均一性によりどのように変形するかを調べたことに対応しており,必ずしも単調に広がらないことを示唆した結果といえる.またフロントを2つ相互作用させることにより,振動パターンが出現することも示すことができた.これは従来の分岐理論等で得られていた振幅の小さい周期解ではなく,大きな振幅を持つものである.このようにその詳細を解析できる例を与えることにより,理論的にさまざまな運動の可能性を示唆することができるとともに,必要な量を全て具体的に計算できるようになった.今後はこの結果を元として当研究の目的に沿って様々な問題に適用していく予定である.その一つの大きなものは界面ダイナミクスへの応用であり来年度以降の課題である.
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Research Products
(7 results)