2004 Fiscal Year Annual Research Report
超高エネルギーガンマ線観測による銀河宇宙線の加速と伝播の研究
Project/Area Number |
16540209
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
吉田 龍生 茨城大学, 理学部, 助教授 (60241741)
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Keywords | 超高エネルギーガンマ線 / 宇宙系加速 / 宇宙線の期限 / 超新星残骸 / RX 0852.0-4622 / 銀河中心 |
Research Abstract |
本研究の主な目的は、超高エネルギー(TeV)ガンマ線観測により銀河系内の宇宙線の起源の解明を進めることである。本年度、論文として出版された成果として、CANGAROO-IIによる銀河系内の三つの天体からの超高エネルギーガンマ線の観測結果の理論的解釈とChandraによる超新星残骸(SNR)の非熱的なX線フィラメントの観測結果の理論的解釈がある。前者においては、CANGAROOチームは、一台のチェレンコフ望遠鏡10mで取得した、銀河中心、連星パルサーPSR B1259-63、SNR RX J0852.0-4622の観測データを解析し、銀河中心とRX J0852.0-4622からTeVガンマ線を検出した。特に、後者のSNRについては、多波長にわたる非熱的な輻射モデルと、電波やX線の輻射強度も含めた観測データと比較することによって、SNR RX J1713.7-3946についで、銀河宇宙線の陽子成分が加速されている二番目のSNRと解釈できることを示した。後者においては、ChandraによるSNRの非熱的なX線フィラメントの空間的な広がりの情報から、宇宙線の電子成分の最高エネルギーや磁場の大きさや向き、磁場のゆらぎに関係する物理量を決定した。また、本年度から四台の望遠鏡でステレオ観測を開始したことを受けて、上記のような宇宙線の起源の解明を進めるためのステレオ観測のデータを取得するために、本研究費で平成16年9月2日から22日まで南オーストラリアのウーメラに出張し、観測と望遠鏡の保守などの作業を行うことができた。また、空間分解能の高いステレオ観測に対応した輻射モデルを構築するためのシミュレーションを行うために、計算サーバーを導入し、計算環境を整えることができ、確率微分方程式による宇宙線の拡散対流方程式の数値シミュレーションのテストを行っている。同時に、CANGAROOチームの一員である山形大学の郡司修一氏の協力を得て、TeVガンマ線のデータ解析に必要な環境も、計算サーバーに構築することができた。
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Research Products
(5 results)