2005 Fiscal Year Annual Research Report
超高エネルギーガンマ線観測による銀河宇宙線の加速と伝播の研究
Project/Area Number |
16540209
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
吉田 龍生 茨城大学, 理学部, 教授 (60241741)
|
Keywords | 超高エネルギーガンマ線 / 宇宙線加速 / 宇宙線の起源 / 超新星残骸 |
Research Abstract |
本年度の成果の一つとしては、チェレンコフ望遠鏡CANGAROO-IIIのステレオ観測で取得したデータの解析を行うための基礎を築いたことである。昨年度は、本科研費で導入した計算サーバ上に、チェレンコフ望遠鏡一台によるモノラルの観測データを解析できる環境を構築したが、本年度は二台以上の望遠鏡によるステレオ観測データを解析するソフトウェアの開発作業を行った。また、ステレオ観測によって増大したデータ量に対応するため、大容量のファイルサーバーも導入し、データ解析に適した環境を整えることができた。論文として出版された成果としては、Velaパルサーを中心としたステレオ観測のデータから、拡がったTeVガンマ線を検出したことである。この天体については、同じくチェレンコフ望遠鏡によるステレオ観測を南天で行っているH.E.S.S.グループによって、TeVガンマ線の放射領域の形状も含めて観測され、パルサーの中心からではなく、Vela X領域からの放射であることが確立された。パルサー星雲で加速された高エネルギー電子がガンマ線の起源と考えられるが、放射領域がパルサーの位置に対して非対称であることなど、さらに研究の必要があることが確認された。また、10の15乗eV付近の宇宙線の起源が、銀河系外起源の宇宙線が銀河風でモジュレーションを受けたものであるという仮説をたて、確率微分方程式による宇宙線の拡散対流方程式の数値シュミレーションによって10の15乗eV付近の宇宙線のスペクトルがどのようになるかを計算し、論文にまとめた。
|
Research Products
(2 results)