2004 Fiscal Year Annual Research Report
ミリ波・サブミリ波高感度・高解像度観測による原始星円盤の物理構造の解明
Project/Area Number |
16540210
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
百瀬 宗武 茨城大学, 理学部, 助教授 (10323205)
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Keywords | 星形成 / 原子惑星系円盤 / 電波天文学 / サブミリ波 |
Research Abstract |
本研究はミリ波・サブミリ波帯における観測により,原始星の周辺環境や原始惑星系円盤の物理状態を詳しく探ることを目的としており,3年計画の初年度にあたる。年度前半には海外共同研究者の大橋永芳氏のもとを3週間弱訪問し,観測戦略の詳細について議論を行った。具体的には,サブミリ波干渉計(SMA)や野辺山ミリ波干渉計(NMA),ASTEサブミリ波望遠鏡を組み合わせ,太陽程度かそれより若干大きな質量をもつ若い星に付随する原始惑星系円盤を系統的に探る計画を立てた。年度後半ではその計画を実行に移した。まずASTE望遠鏡を用いて,地球から最近傍の星形成領域である牡牛座分子雲中に存在する約10天体を対象に,円盤から放射される一酸化炭素分子輝線を検出を試みた。その結果,3天体から惑星系の母胎となると見られるコンパクトな回転円盤起源の成分を検出したほか,他の天体からはその円盤の早期段階で質量供給源となっているより広がったガスからの放射を検出した。サブミリ波帯における一酸化炭素分子輝線で,若い星の星周ガスの広がりを系統的に押さえた研究結果は過去にほとんど例がなく,有意義なものである。その結果は論文化に向け解析中である。一方,より高い解像度での観測が可能なSMA, NMAでは,過去の近赤外線観測で自己重力不安定起源と思われる渦状腕構造が円盤中に見いだされた『ぎょしゃ座AB星』にターゲットを絞り,塵粒子からの熱放射を詳細に調べることを目的とした観測を実行した(現在もデータ取得中)。2つの異なる波長で高解像度マップを得ることで,塵粒子の質量分布やサイズ分布について,詳しい情報が得られると期待している。この他研究経費では,観測結果の解析やモデル構築のための計算機環境の整備を行った。すでに干渉計やASTE望遠鏡データが解析できる環境を整え,研究推進に役立てている。
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