2005 Fiscal Year Annual Research Report
ミリ波・サブミリ波高感度・高解像度観測による原始星円盤の物理構造の解明
Project/Area Number |
16540210
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
百瀬 宗武 茨城大学, 理学部, 助教授 (10323205)
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Keywords | 星形成 / 原始惑星系円盤 / 電波天文学 / サブミリ波 |
Research Abstract |
今年度は3年計画の研究の2年目であった.新たな観測としては,7月に南米チリ共和国に出張し,近傍に存在する太陽より少し質量の大きな若い星(ハービッグAe型星)に付随する原始惑星系円盤について,ガス成分を系統的に探るサブミリ波望遠鏡ASTEを用いて実行した.具体的には,中間赤外線領域で著しい輻射超過を示すグループ(グループI)と示さないグループ(グループII)それぞれ5天体ずつ選び,付随している円盤からの一酸化炭素分子の回転遷移サブミリ波輝線を観察した.その結果,グループIは4天体から,グループIIは2天体から,それぞれ一酸化炭素の輝線を検出した他,その他の4天体についても十分小さな検出限界を得た.昨年度実施したおうし座分子雲中に存在する太陽と同程度の若い星(Tタウリ型星)の結果と比べると,星の年齢は同程度にも関わらず,1000天文単位スケールに広がったガス放射が有意に少ない.これは,星周ガスの散逸タイムスケールに質量依存性があることを示唆する.一方,データ解析面では,おうし座分子雲中のTタウリ型星に対する一酸化炭素分子のサブミリ波観測結果を詳しく調べた結果,その積分強度は星が示す水素のバルマー輝線強度と良い反相関関係があることが分かった.この結果は,星中心への質量降着が弱まるに従って1000天文単位スケールの高密度ガスが減少するという枠組みで良く説明できる.これらの結果については,2005年秋,2006年春の日本天文学会年会にて発表を実施した他,後者については,投稿論文の執筆を進めている.
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Research Products
(2 results)