2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
蜂巣 泉 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (90135533)
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Keywords | 超新星 / 超新星爆発 / 元素合成 / 鉄の起源 / 連星系の進化 / 宇宙膨張 |
Research Abstract |
この研究の第一の目的は、Ia型超新星爆発にいたるまでの連星系の進化を追いかけ、C+0白色矮星中の炭素/酸素比など、Ia型超新星爆発時の初期条件を特定することである。連星系中の白色矮星の質量降着による進化を調べる上で重要な点は、連星系の相手の星からのガスを白色矮星がどのくらい受け取ることができるか、ということである。計画初年度においては、神戸大学の松田氏のグループと共同で、連星系の一方の星から恒星風により質量が出て行く場合、白色矮星はそのうちのどの程度のガスを降着できるかを数値シミュレーションにより見積もった。結果は、恒星風の速度が軌道運動の速度と比較して、比較的大きい場合は1%以下になり、恒星風の速度と軌道運動の速度の比の4乗に逆比例して減少して行くことを確かめた。このことにより、連星系の一方の星からの質量放出の速度が連星の軌道運動の速度に比べて、遅い場合にのみ白色矮星は効率的に質量を増加させることができると分かった。これらの結果は、論文として発表した。 この研究の第二の目的は、Ia型超新星の最大光度の分散やスペクトルの多様性の根源を解明するために、Ia型超新星爆発時の炭素燃焼波面の対流不安定による伝播を、2および3次元直接数値シミュレーションを行うことで求めることである。この点に関しては、2次元の爆発数値シミュレーションのコードが完成し、実際に爆発を追いかけることができるようになった。まだ、計算が最終的に収束しているとは言えないので最終結果ではないが、未燃物質が爆発殻の中心部近くに残ってしまうことが判明した。これは、Ia型超新星のスペクトル観測と矛盾するので、今後の検討が必要になる。
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Research Products
(5 results)