2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540213
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
茂山 俊和 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (70211951)
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Keywords | 超新星 / 相対論 / 衝撃波 / 自己相似解 / 軽元素合成 / 金属欠乏星 / 銀河の化学進化 |
Research Abstract |
本研究では相対論的輻射流体力学計算コードを構築し、Wolf-Rayet星のように半径が小さい星の爆発初期の現象を定量的に調べた。このような半径の小さな星の爆発では衝撃波が表面を通過する直後に外層が相対論的速度にまで加速されることが知られている。このような星の爆発のうちIc型超新星と分類されるものは外層の主成分がCやOであることがスペクトル観測と星の進化モデルから推測される。このように加速されたCやOが星間ガス中のHやHeと破砕反応を起こしてLi,Be,Bを合成するので、銀河系内でのLi,Be,Bの元素量の進化を調べる基礎データとして、様々な質量のWolf-Rayet星についてLagrange座標を用いた相対論的流体力学コードを構築し、爆発の計算を行なった。その結果、超新星で吹き飛んだ物質の正確なエネルギー分布を得ることができた。この結果を初期値として、光速に近い速度で飛び出した物質が星間物質を伝わる過程を輸送方程式を解きながら計算し、物質のエネルギー分布が星間物質中の原子をイオン化してエネルギー分布が変化する様子や破砕反応を起こしどのくらいのLi,Be,Bを合成するかを計算した。その結果、SN1998bwのように爆発エネルギーが大きい超新星ならば銀河ハローで観測される金属欠乏星のBe/OやB/Oの元素組成比を説明できるが銀河系ハロー全体の現在のBe、Bの量を説明するにはこのような超新星の頻度が現在観測から評価されているものより100倍程度大きい必要がある。また、このような過程で合成されるLiの量はビッグバンで合成される量よりかなり少ないことがわかった。これらの結果は既にThe Astrophysical Journalに発表した その他に、超相対論的な衝撃波が星の表面を通過する前後を記述する自己相似解を新たに導出し、それによってえられる物質のエネルギー分布を求め、既に知られている非相対論的な自己相似解と比較議論した論文を投稿し受理された。
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Research Products
(2 results)