Research Abstract |
中性子星を構成する各種バリオンの超流動性とニュートリノ放射率を系統的に検討し,中性子星冷却問題に不可欠な基礎材料を提供するという本研究の目的に沿って,計画的に研究を遂行している。今年度(平成17年度)に得られた研究成果は次のとおりである。 1.冷却の「標準シナリオ」に関する基礎材料の導出:n,p,e^-,μ^-から成る中性子星のノーマル相を対象とする。本研究開始以前に既に準備されていた状態方程式(EOS),各成分の混在度,nとpの有効質量に基づき,nの^3P_2型,pの^1S_0型の超流動に対応するエネルギーギャップ計算を実行し,それらの臨界温度を密度毎に得た。また,これらの計算を有限温度の場合に拡張し,温度依存のエネルギーギャップの結果を提示すると共に,有限温度系でのν放出度の定量的結果を得た。 2.「非標準シナリオ」(ハイペロン冷却)に関わる基礎材料の導出:n,p,Λ,Σ^-,e^-,μ^-から成るハイペロン混在中性子星物質を対象とする。この系に於けるバリオン超流動については,既に検討済みであったが,観測と整合するEOSの場合を選び,各種バリオンの超流動性,及び,各種プロセスでのν放射率を再計算し,結果を整理した。 上記の研究成果については論文(裏面のリスト)の中でも発表しているが,ハイペロン超流動の部分の総括的報告については,目下,論文を準備中である。
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