2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540225
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
高塚 龍之 岩手大学, 人文社会学部, 教授 (50043427)
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Keywords | 中性子星 / 冷却 / 超流動 / バリオン / パイオン凝結 |
Research Abstract |
標準過程での冷却では説明できない低い表面温度が観測されている中性子星があり,速い冷却を必要としている。本研究課題では「ハイペロン冷却」や「パイオン冷却」と略称される非標準過程による速い冷却をバリオン超流動の効果を取り入れ理論的に検討してきた。本年度はまとめを意識しつつ,下記の成果を得た。 1.ハイペロン冷却: 1.平成16-17年度では,ハイペロン混在中性子星の現実的なモデルを導き,混在度,状態方程式,ハイペロン超流動,ν放射率等,冷却計算に必要な材料を導出した。今年度はこの成果にたって,ハイペロン混在中性子星の冷却計算を実行し,「ハイペロン冷却」が観測と整合的であることを示した。目下,まとめの論文を準備中である。 2.パイオン冷却: (1)パイオン凝縮下のバリオン基底はアイソバーΔの効果を衣にまとった中性子と陽子の重ね合わせで記述される(η粒子)。準粒子ηにもとづくペアリング効果は多体論的に新しい課題であるが,η対相関を扱いうる「準粒子BCS理論」を定式化した(別掲第1論文)。 (2)上記理論にもとづくη対相関エネルギーギャップ方程式を,バリオン間相互作用の特性に留意しつつ,数値的に解き,中性-荷電パイオンの共存凝縮下でバリオン系は超流動状態にあること,10^9K程度の臨界温度が期待できること,「パイオン冷却」は非標準冷却過程の有力な候補になることを示した(別掲第2論文)。
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Research Products
(2 results)