2004 Fiscal Year Annual Research Report
近似無し格子フルQCD計算によるU(1)問題及びパイ中間子・核子シグマ項の研究
Project/Area Number |
16540228
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉江 友照 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (40183991)
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Keywords | 格子QCD / U(1)問題 / 数値シミュレーション / 3フレーバ / シグマ項 |
Research Abstract |
本研究の目的は、軽いu, d, sクォークの対生成・消滅効果を取り入れた格子量子色力学の数値シミュレーションによって、素粒子物理学に於ける長年の課題であるU(1)問題とπ中間子・核子σ項問題の定量的解決を図ることである。そのためには、まず、対生成・消滅効果を含むQCDの真空配位を生成し、その上で、伝搬関数や行列要素の計算を行う。 配位の生成には、並列計算機CP-PACSとVPP5000(筑波大)、SR8000(KEK)等を用いた。2つの格子間隔(0.1fm,0.122fm)での生成が終了し、現在最も細かい格子(0.07fm)の計算を実行中である。当該計算によって、格子間隔ゼロの連続極限において、フレーバ8重項の擬スカラー中間子、ベクトル中間子の質量スペクトラムの実験値がよく再現されることが明らかとなった。これにより、フレーバ1重項のU(1)問題やσ項問題の解決への前提条件が達成された。 U(1)問題等では、8重項質量計算に現れる結合したクォークダイアグラムの計算に加えて、非結合ダイアグラムの計算が必要であり、これを効率よく計算する手法の確立が重要である。本年度は、今日まで提唱されている3つのアルゴリズム 1)Volume Source法、2)Stochastic Noise法、3)Truncated Eigenmode法を、筑波大SR8000上に実装し、上記のシミュレーションで生成された配位を用いて、アルゴリズムの優劣の検討を開始した。1),2)の比較で、2)のStochastic Noise法がより少ない計算時間でより高い精度で非結合ダイアグラムを計算できること、非結合ダイアグラムの計算精度は、ノイズ数にあまり依存せず、ノイズ数3程度が精度・計算コスト比の観点から最良であること、が明らかとなった。3)のTruncated Eigenmode法を含めてのアルゴリズム比較は、次年度の課題である。
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Research Products
(1 results)