2006 Fiscal Year Annual Research Report
近似無し格子フルQCD計算によるU(1)問題及びパイ中間子・核子シグマ項の研究
Project/Area Number |
16540228
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉江 友照 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 助教授 (40183991)
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Keywords | 格子QCD / U(1)問題 / 数値シミュレーション / 3フレーバ / eta / eta'質量 |
Research Abstract |
素粒子物理学の長年の課題であるU(1)問題を解決する、つまり、η、η'疑スカラー中間子質量がπ中間子質量に比べて圧倒的に重い実験事実をQCDから導く問題を、軽いu,d,sクォークの対生成消滅効果を取り入れた近似無し格子QCDの数値シミュレーションによって、調べた。 η、η'質量は、クォークの対生成消滅過程を通してQCDの非自明な位相構造によって大きな質量を獲得する。また、η、η'は、一重項と八重項が混合した状態である。η、η'質量を正しく計算するためには、軽い全てのクォークの対生成消滅効果を取り入れる事が必須である。 本研究では、CP-PACS/JLQCDグループが生成し、フレーバ非一重項ハドロン質量等の研究に用いられた近似無し格子QCD配位の内、最も荒い格子の配位を用いて、η、η'質量の評価を行った。計算の特徴は以下の通りである。1.η、η'質量計算に必要な非結合ダイアグラムをstochastic noise法を用いて評価した。2.伝搬関数からη、η'のシグナルを引き出す為、smearing法を組み合わせた。3.η、η'とオーバラップのあるSU(2)一重項擬スカラー,及びsクォーク擬スカラー演算子の2x2伝搬関数を求め、対角化法によって、混合を解いて質量を決定した。 η質量の結果は0.545(16)GeVで実験値と良く一致し、η'質量は0.871(46)GeVであり、π中間子質量に比べて圧倒的に重く、実験値よりわずか0.1GeV小さいという結果を得た。これらは一つの格子間隔での計算結果であるが、格子QCD計算によってU(1)問題を解決できる事を強く示唆する有望な結果である。
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Research Products
(2 results)