2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540232
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松尾 泰 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (50202320)
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Keywords | Dブレーン / 弦の場の理論 / 境界状態 / 行列模型 / Louville方程式 / Calogero方程式 / 超弦理論 / 量子重力 |
Research Abstract |
我々は以前境界状態が閉弦の場の理論で用いられるスター積に関してべき等方程式を満たすことを示した。これはDブレーンの弦の場の理論による普遍的な特徴付けと考えることができる。今年はこの考え方を拡張し、べき等方程式に対応する作用からどのようにして弦の摂動展開が導かれるかについて考察した。これは今の段階ではまだ不完全なものであり、Feynman図を全て一意的に導くことに成功はしていないが、そのための条件として場の理論の頂点演算子がパラメータ依存性を持つ必要があることが理解された。また一つの副次的な産物として開弦に対応する境界状態が存在し、同じく開弦場の頂点演算子に対してべき等方程式を満たすことを示した。この開弦場に対する境界状態はDブレーンが交叉しているときに一方のDブレーン上から生成された開弦がもう一方のDブレーン上を伝播する過程を表す状態である。 また関連するプロジェクトとして、低次元量子重力を記述するc=1の行列模型におけるソリトン的な状態(長い開弦)を記述する随伴表現のセクターの研究を行った。通常の短い弦はsinglet表現により記述されることが知られており自由場に帰着するが、随伴表現の場合はCalogero方程式という可解ではあるが自由ではない場の理論に帰着する。このCalogero方程式を厳密に解きソリトン的な状態の動力学を理解することが目標である。本年度は方程式の厳密解の積分系を導くことに成功した。現在large N極限をとってLiouville方程式から得られる予言と矛盾しないかどうかについて検討を行っている。
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