2005 Fiscal Year Annual Research Report
耐放射線性を向上した圧電トランスを使った高圧電源の製作とその耐放射線性の測定
Project/Area Number |
16540233
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
井森 正敏 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助手 (70011690)
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Keywords | 圧電トランス / 高圧電源 / 出力電圧の安定化 / 耐放射線性 / フィードバック |
Research Abstract |
CERNのLHCを使った国際共同実験ATLASに参加する日本グルループは、検出器Thin Gap Chamber(TGC)を担当する。本研究の目的は、かねてから研究を続けている圧電トランスを使った高圧電源がTGCの高圧電源に適合することを実証することである。 TGCの高圧電源は、体積あたりのチャネル数が重要である。19インチラックの高さ2Uのクレートに60チャネルの高圧電源モジュールを組み込むことに成功し、この高圧電源を2台製作した。この高圧電源をコバルト60によりガンマ線に、またスイス国PSI研究所において陽子線に照射することにより、この高圧電源がCERNの定める耐放射線性の規格を満たしていることを実証した。 この高圧電源がTGCの高圧電源に求められる機能を実現し、実際に測定器に組み込む際に求められる条件を満たしていることが確かめられたので、TGCの高圧電源の入札への参加を検討した。入札仕様書は高圧電源の低圧電源と同一のクレートへの収納を要求していたので、応札を断念した。 この高圧電源は計算機とUSBケーブルで結合され、計算機の制御のもとで動作する。WindowsとLinuxのオペレーティングシステムのもとで動作する制御プログラムが開発され、改良が続けられた結果実験で十分に使用に耐える実用的なプログラムとして完成している。 高圧電源と制御プログラムが実用化試験のためにCERNに送られた。現在、CERNにおいて試験が行われており、高圧電源と制御プログラムの機能試験が終了した段階である。この高圧電源はCERNのエレクトロニクス関係者の注目するところとなり、CERNのthe PH-ESS group(the group which deals the electronics pool)より検討の申し出があり、協力してこの電源の評価を行うことになった。
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