2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540243
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大野木 哲也 京都大学, 基礎物理学研究所, 助教授 (70211802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺崎 邦彦 京都大学, 基礎物理学研究所, 協力研究員 (00034611)
橋本 省二 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (90280510)
松古 栄夫 高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 助手 (10373185)
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Keywords | ハドロンスペクトル / カイラル極限 / B中間子 / 重いクォーク / 格子QCD |
Research Abstract |
BファクトリーにおけるB中間子の崩壊や振動現象のデータと、格子QCDによる遷移行列の精密計算の比較により、標準模型やそれを超える物理の検証を行うことができると期待される。しかし、理論的にはbクォークの質量が大きすぎるため、格子化誤差が大きな障害となっている。そのための有望な方法として、非等方格子を用いた定式化が有望と考えられている。昨年度までの非摂動マッチングの研究に引き続き、今年度はHQETとの比較を行うべく格子上のHQETの研究を中心に行った。今年度は1/M補正項のマッチングの新たな手法を提唱し、その有用性をしらべた。この結果をもとにHQET作用との比較から非等方作用の有用性の検証に利用できると期待される。もうひとつの成果はハドロン物理に関する成果である。現在、Bファクトリーなどを始めとするの実験から通常の描像では理解できないエキゾチックなハドロン状態が数多く見つかっている。一方われわれはこれまで、非等方格子を含む格子QCDを用いてB中間子を中心として、遷移行列や質量スペクトルについて、多くの研究を行ってきたが、それらのテクニックはまさにエキゾチックな粒子についても適用できる。大野木は高橋徹氏、梅田貴士氏、国広悌二氏らとの共同研究で、クェンチ近似でペンタクォークの量子数をもつ演算子を複数個用いた相関関数を対角化し、その質量とスペクトル関数の体積依存性を調べることにより、ペンタクォークの研究を行った。結果として、比較的クォーク質量が重い場合はKN thresholdの上にペンタクォーク的な状態があることがわかった。また、分担者の寺崎はMcKeller氏との共同研究でBabar, Belleで見つかったCharmed scalar励起状態の4体クォークによる解釈を行い、今後の格子計算において重要な予言として、isospinが1である可能性を指摘した。
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Research Products
(4 results)