2007 Fiscal Year Annual Research Report
非可換空間の非ユニタリーな発展と宇宙のモデルとしての応用の研究
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16540244
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
笹倉 直樹 Kyoto University, 基礎物理学研究所, 准教授 (80301232)
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Keywords | 非可換空間 / ファジー空間 / テンソルモデル / 一般相対性理論 / 量子重力 / ホップ代数 / Twisted symmetry / Braided field theory |
Research Abstract |
今年度の研究は大きく二つに分かれる。 1、非可換空間(より一般的にはファジー空間)を宇宙のモデルとするためには、動的なファジー空間の理論を考える必要がある。前年度までの研究により、三階テンソルモデルがそのような理論としてふさわし性質を持つことを示した。例えば、このモデルは一般座標変換不変性に相当するファジーな対称性を持つ。また、いわゆる背景場非依存性という、位相や次元などに関係なく、空間を統一的に扱えるという好ましい性質も持つ。今年度の研究では、このモデルが正しく古典極限として一般相対論を再現するかどうかを調べた。具体的には、このモデルにおいて、平坦な空間に相当するある種の古典解周りで展開し、その揺らぎのモードの性質を数値的に調べた。すると、低いスペクトルモードの性質が一般相対論からの予見と完全に一致した。このことは、テンソルモデルが、ファジーな一般座標変換不変性、背景場非依存性、一般相対論の内包などの優れた性質を持ち、量子重力理論の枠組みとして極めて有望であることを意味する。ただし、これまでの研究では古典解や作用が簡単化のため特別に取られており、一般化や作用を決める原理の探求などが今後の課題である。 2、非可換空間の対称性が、通常のリー代数と異なり、ホップ代数的であることが2004年頃から知られていたが、場の理論としてのホップ代数的対称性の実現については、本質的な混乱が見られた。笹井氏とともに、この問題を、Oeckl氏のBraided場の理論の枠組みで扱い、場の理論としてホップ代数的対称性を実現するための条件や対称性の物理的意味などを、決定的と思われる形で示した。
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Research Products
(3 results)