2005 Fiscal Year Annual Research Report
自然な大統一理論の構築とその予言と超弦理論からの導出
Project/Area Number |
16540247
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
前川 展祐 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40273429)
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Keywords | 超対称性 / 大統一理論 / 異常U(1) / 強いCP問題 / little hierarchy problem / lepton flavor violation / horizontal symmetry / Super B factory |
Research Abstract |
この一年で主に3つの事柄について、大きな進展があった。 一つ目は、強いCP問題が、異常U(1)対称性がある多くの理論で自然に解き得る、ということがわかったこと。もちろん、相互作用に対する仮定が必要であるが、この標準理論にも存在する問題を我々のシナリオの中で、新しい場を導入することなしに解きうる、ということがわかった意義は大きいと考える。 二つ目は、超対称性理論に固有の問題であるlittle hierarchy problemのひとつの自然な解を見つけることができたこと。LEP実験からのヒッグズの質量に対する制限を超対称性理論のヒッグズの質量に対する制限に無批判に置き換えると、パラメーター間で大きな相殺が必要になり、不自然な理論になる、という問題を、LEP実験の結果を超対称性理論の性質まで加味して吟味することで特に大きな相殺が必要にならないパラメータ領域が存在することを示しました。多くの人々がこの問題を解くために、新しい場や相互作用を導入するなど大げさな道具立てを必要としているのに比べて、この解は、新しい道具立てを一切必要としないので、おそらく自然はそのようになっているのではないか、と考えている。 三つ目は、E6大統一理論とホリゾンタル対称性を導入して超対称性フレーバー問題を自然に解く、という研究代表者が以前に提案した模型の低エネルギーでの予言を提示した仕事である。二つ目の仕事にあるように大きな相殺が必要でないようなパラメータ領域では、μ→eγやτ→μγなどのlepton flavor violationの実験で、現在のバウンドは、大丈夫であるが、将来の実験(MEG実験やSuper B実験)で見えるような領域に予言されることがわかった。このことは、もし、将来、lepton flavor violationが見えれば、この模型に対する間接的な証拠になりうる、という意味で面白いと思う。 以上の研究は、近いうちに公表する予定である。
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