2005 Fiscal Year Annual Research Report
超弦理論の時間に依存した解と宇宙論への応用に関する研究
Project/Area Number |
16540250
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
太田 信義 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90167304)
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Keywords | 超弦理論 / M理論 / インフレーション / 重力の量子論 / ブラックホール / ブレイン |
Research Abstract |
素粒子及び重力理論の分野の大きな課題である、重力の量子論とその物理的な帰結について研究を行いました。その有力な候補である超弦理論は高い次元で定義されているので、それを物理的に解釈するには余分な次元をコンパクト化する必要があります。本研究計画では、超弦理論の4次元時空を与えるような時間に依存した非摂動的解を調べると同時に、その現実的な応用として宇宙論との接点を探しました。具体的な研究内容とその成果は以下の通りです。 1.超新星爆発のデータを用いて、そのような振る舞いを与えるポテンシャルを直接求める一般的方法を開発し、その結果として得られるポテンシャルが超対称性理論から期待されるものであることを発見しました。この成果はすでに学術論文として書き、学術雑誌Physical Review Dに掲載されています。 2.以前に求めたブラックホールを含むブレイン解の一般的構成法をさらに一般化した方法を開発し、それにより一般的な解を構成しました。これも学術誌Physical Review Dに掲載されています。 3.超弦理論を用いて、宇宙初期の特異点を回避し、そこでどのような物理的描像が得られるかを議論しました。この結果は学術誌Physics Letters Bに掲載されています。 4.また、超弦理論の重力の量子論の応用として、supertubeと呼ばれる解の一般化を試み、3つ及び4つのチャージを持つ解を構成しました。これは量子的状態を勘定し、対応するブラックホールのエントロピーの統計力学的解釈を与え、ブラックホールの量子論への大きな一歩です。この成果は学術誌Journal of High Energy Physicsに掲載されました。 5.時間に依存した解とその重力サイドでの記述法を開発しました。この成果は、現在論文として投稿中です。
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Research Products
(4 results)