2006 Fiscal Year Annual Research Report
ブラックホール摂動法とポストニュートニアン近似による重力波の研究
Project/Area Number |
16540251
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田越 秀行 大阪大学, 大学院理学研究科, 助手 (30311765)
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Keywords | 一般相対論 / 重力波 / ブラックホール / 重力波検出器 / 中性子星 / 宇宙物理学 |
Research Abstract |
カーブラックホールの線形摂動の基本方程式である,Teukolsky方程式の高精度計算コードを用いて,星がカーブラックホール周りの一般的な束縛運動をする場合について発生する重力波の評価を行うための計算コード開発を行った.また,Teukolsky方程式の数値解を求める際に用いている,Mano-Suzuki-Takasugiの方法において,renormalized angular momentumパラメータが複素数になるという現象についての数学的構造についても調べた. 中性子星やブラックホールからなる連星の,公転軌道期に発生する重力波は地上におけるレーザー干渉計重力波検出器の最も重要なターゲットである.今年度は,重力波の理論波形を実際のデータ解析に適用する研究を行った.データとしてはTAMA300検出器が2000年から2004年に取得したデータを用いた.その結果統計的に有意な重力波信号は検出されなかった.また,太陽の1倍から3倍の質量の場合,TAMA300が検出可能な我々の銀河系内イベントのイベントレートについて,1年間に20イベント以下という上限値を導出した.この値は現在論文として出版されている上限値としては,世界でもっとも厳しい値である. 今年度はまた,連星の公転軌道期に発生する重力波を複数台の検出器によって検出するための,コヒーレント解析法についても研究を行った.2台の同一検出器については,従来のコインシデント法よりコヒーレント法の方が優れているということを定量的に示した.
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Research Products
(2 results)