2005 Fiscal Year Annual Research Report
ペンタクォークバリオンの構造と生成に関する理論研究
Project/Area Number |
16540252
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
保坂 淳 大阪大学, 核物理研究センター, 助教授 (10259872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土岐 博 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (70163962)
中野 貴志 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (80212091)
永廣 秀子 大阪大学, 核物理研究センター, 特任研究員 (10397838)
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Keywords | シータ粒子 / エキゾチックバリオン / 光生成生 / マルチクォーク状態 / ストレンジネス |
Research Abstract |
(1)Θの光生成 最近になって、Θの存在を否定する実験結果が報告されるようになってきた。なかでもJ-Labの報告は、もともと存在するとしていた自らの結果を否定するものとなった。一方でLEPSの重陽子を標的とした新しいデータには、Θのピークが見えている。このような情況のもと、我々は両者の実験結果の矛盾を解決する理論的な提案を行なった。Θのスピン・パリティーとしてクォーク模型で幅の狭い状態を自然に説明する3/2-を採用し、有効ラグランジアンの方法で断面積を再計算した。ゲージ不変性とカイラル対称性を最大限に使って、未知のパラメータを最小限に抑えた。その結果、コンタクト項に起因して、陽子標的の場合に断面積が著しく抑制されることがわかった。また、断面積の角度分布が前方に鋭いピークを持つことも示された。これらのことから、主に側方を観測するJ-Labの実験結果と、前方を集中的に観測するLEPSの実験結果が必ずしも一致することはないことを示した。 (2)フレーバー対称性に基づいたペンタクォーク粒子の質量と中間子との結合 5クォーク状態が存在すると反10重項と8重項が混合して、これまで観測されてきた励起バリオンにその性質が反映されている可能性がある。スレーバー対称性と混合が引き起こす物理量への影響は代数的に評価できる。我々は、いろいろなバリオンの質量、湯川結合、2中間子結合のあいだに代数的な関係式を導いた。そこに含まれるパラメータを既知のバリオンの情報をもとに決め、Θを含む未知のバリオンの性質を予言した。その結果、幅の狭い状態を説明するには、スピンパリティーの3/2-状態が最も自然であることを示した。また、2中間子とΘの相互作用を予言し、πK散乱、Kπ散乱に伴うΘの生成率を予言した。
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Research Products
(10 results)