2005 Fiscal Year Annual Research Report
不安定原子核の平均場及び振動モードのアイソスピン依存性の理論的研究
Project/Area Number |
16540259
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Research Institution | The University of Aizu |
Principal Investigator |
佐川 弘幸 会津大学, コンピュータ理工学部, 教授 (50178589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 智 法政大学, 自然科学センター, 助教授 (60297992)
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Keywords | 対相関 / 平均場理論 / di-neutron相関 / 原子核変形 / 中性子核物質 |
Research Abstract |
本研究では、不安定原子核での対相関や変形の効果をHartree-Fock BCS理論やHartree-Fock Bogoliubov理論により計算し、基底状態の性質を系統的に調べた。3体模型に対相関を取り入れて、di-neutronの性質の励起状態への効果を調べ、クーロン崩壊の微分断面積の計算も行った。また、非常にゆるく束縛された原子核の電気的4重極遷移をHartree-Fock Bogoliubov理論を座標表示空間で解くことにより研究した。特に注目したのは、電気的遷移応答反応への対相関の効果を、Hartree-Fock Bogoliubov理論により計算し、Hartree-Fock BCS理論と比べることにより、座標空間でゆるく束縛された中性子の波動関数特有の励起関数に対する効果を指摘した。その中で閾値近傍の励起にゆるく束縛された中性子の波動関数の影響が強く現れること指摘した。 平均場が原子核に変形をもたらすことはよく知られている。われわれは、Skyrme Hartree-Fock理論をもちいて軽い原子核や中重核における変形の発生機構を調べた。その中で変形に強いアイソスピン依存性があることを指摘し、計算結果と電気4重極子や磁気モーメント等の実験との比較を行った。またHartree-Fock BCS理論の渡動関数を基底に用いた中重核の変形核計算と殻模型で計算された物理量とを比較した。その中で磁気モーメントや電気4重極に対しての変形の効果の違いを実験データと比較することにより研究した。 もうひとつの大きなテーマとして、核物質の性質と有限多体系の原子核の基底状態の性質の関係を議論した。特に注目した点は、中性子核物質を含む非対称核物質の状態方程式と原子核の非対称エネルギーの関係である。その中で、中性子スキンの厚さと状態方程式の圧力の関係をSkyrme Hartree-Fock理論や相対論的平均場理論により研究し、両者の物理量に強い相関があることを指摘した。一方、原子核の非圧縮率等のアイソスカラー的な物理量とは相関が見られないことを指摘した。
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Research Products
(5 results)