2006 Fiscal Year Annual Research Report
B中間子崩壊のQCDによる研究:B中間子内部の動的グルーオンの効果の解明
Project/Area Number |
16540266
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
田中 和廣 順天堂大学, 医学部, 講師 (70263671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小平 治郎 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (40127080)
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Keywords | B中間子 / 崩壊 / QCD / 光円錐波動関数 / 形状関数 / 重いクォーク / グルーオン / HQET |
Research Abstract |
B中間子の崩壊過程の理論計算には、B中間子の光円錐波動関数や形状関数が不可欠である。本研究では、これらのQCDに基づく扱いを発展させ、B中間子内部の動的グルーオンに由来する効果の計算を行った。光円錐波動関数について1ループ補正の計算とその詳細な分析を行い、紫外領域と赤外領域でループ補正の振舞いが全く異なること、赤外領域での主要な寄与は"ソフトな"モードに対応し局所演算子行列要素で表現できること、がわかった。この結果をもとにして、光円錐波動関数を演算子積展開を用いて、あらためて長距離部分と短距離部分に分離し直した。短距離部分は1ループ補正をMSスキームで計算し、長距離部分は次元5までの局所演算子の完全系で表した。特に、次元5の演算子は、QCDの運動方程式が与える拘束条件を用いて、動的グルーオンを含むクォーク・反クォーク・グルーオンの3体局所演算子として厳密に表現できることがわかり、その行列要素の定量的評価も、従来のQCD和則の計算結果を利用して直ちに得られることが明らかになった。短距離部分については、2重対数型の特異な因子を通してくりこみスケールに依存することがわかり、動的グルーオンの効果を正しく考慮すると、光円錐波動関数は、cusp異常次元と、局所演算子の異常次元との"2段階"のスケール依存性で記述されることがわかった。以上の結果および形状関数についての同様な結果は、研究代表者・分担者により、国内および国際研究集会で発表され、Nuclear Physics B(Proc.Suppl.)誌上に発表された。昨年9月に研究分担者が急逝したため、未発表の部分、および未解決の部分(特に、B→γeνの崩壊率への応用)が残ったが、今後進めて発表していく。また、B中間子崩壊以外の過程で、動的グルーオンの効果により惹き起こされる様々な偏極現象についても着目し、QCDに基づく機構の解明と理論的予言を行い、結果を国内・国際研究集会、およびNuclear Physics B等の論文誌上に発表した(「雑誌論文」参照)。
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Research Products
(6 results)