2004 Fiscal Year Annual Research Report
巨大ゼーマン効果を有する2次元電子系における準位交差と量子ホール強磁性
Project/Area Number |
16540280
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
黒田 眞司 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (40221949)
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Keywords | 2次元電子系 / 磁性半導体 / 分子線エピタキシー / 水素クリーニング / 電子移動度 |
Research Abstract |
本研究課題では、CdTeをベースとして磁性元素Mnを含む変調ドープヘテロ構造を作製し、Mnの局在スピンと2次元電子との間の交換相互作用により生じる「磁性」2次元電子系の特徴的な振舞いを明らかにすることを目的としている。今年度は、このような物性研究のための高移動度2次元電子試料の作製を目指して、分子線エピタキシー(MBE)法を用いた結晶成長技術に関する研究を行った。 MBEを用いたCdTeベース2次元電子試料の成長には通常GaAs基板を用いるが、成長前の基板洗浄の方法として水素プラズマを用いる方法が有効であることが知られている。ただ水素プラズマ洗浄を施したGaAs(100)表面にCdTeをMBE成長すると、水素プラズマの励起出力に応じて洗浄後のCdTe成長の方位が(100)かまたは(111)のいずれかに変化するという実験例が報告されていたが、そのメカニズムは不明であった。本研究では、反射高エネルギー電子線回折(RHEED)観察により、水素プラズマ洗浄時のGaAs表面の再構成パターンがプラズマ出力により変化することを見出し、上述のCdTeの成長方位の変化がGaAsの表面状態の違いに起因することを明らかにした。さらにこの水素プラズマ洗浄を利用しヨウ素(I)をn型ドーパントとしたCdTe/(Cd,Mg)Te変調ドープ構造試料を作製し、水素プラズマ洗浄による移動度向上の効果を調べた。(111)と(100)方位の双方の試料を作製して低温での移動度を測定した結果、(100)方位に成長した試料では、従来の熱処理による洗浄を施した試料に比べ移動度が大幅に向上することが明らかにされた。
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Research Products
(6 results)