2005 Fiscal Year Annual Research Report
巨大ゼーマン効果を有する2次元電子系における準位交差と量子ホール強磁性
Project/Area Number |
16540280
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
黒田 眞司 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (40221949)
|
Keywords | 2次元電子系 / 磁性半導体 / 分子線エピタキシー / 水素クリーニング / 電子移動度 |
Research Abstract |
本研究課題では、CdTeをベースとして磁性元素Mnを含む変調ドープヘテロ構造を作製し、Mnの局在スピンと2次元電子との間の交換相互作用により生じる「磁性」2次元電子系の特徴的な振舞いを明らかにすることを目的としている。昨年度から引き続いて、高移動度2次元電子試料の作製を目指して、分子線エピタキシー(MBE)法を用いた結晶成長技術に関する研究を行った。 CdTeベース試料のMBE成長の際に基板として用いられるGaAs単結晶の成長前の表面洗浄法として、従来の熱処理による酸化膜除去に代わって、水素プラズマによる洗浄が有効であることが示された。この水素プラズマによる洗浄効果の例として、GaAs(001)面上に(001)方位に成長したCdTe/(Cd,Mg)Te変調ドープ構造試料においては、従来の熱処理による洗浄を施した試料に比べ移動度が大幅に向上することが明らかにされた。 このような水素プラズマ洗浄を用いたMBE成長技術を用いて、2次元電子層にMnを添加した(Cd,Mn)Te/(Cd,Mg)Te変調ドープ試料を作製し、強磁場下の磁気輸送特性および磁気発光特性の測定を行った。その結果、ランダウ準位占有数v=1の磁場位置で発光エネルギーの不連続な跳びが現れることを見出した。これは磁性2次元電子系に特有の現象で、2次元電子とMnとの交換相互作用によりランダウ準位が湾曲し準位間の交差が生じることによるものと解釈することができた。
|
Research Products
(5 results)