2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540281
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
安藤 恒也 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (90011725)
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Keywords | カーボンナノチューブ / コンダクタンス / 非弾性散乱 / 有効質量近似 / 完全透過 / ニュートリノ / トポロジー / 励起子 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブは半径ナノメートル程度の2次元グラファイトを丸めて得られる天然の量子細線である.ナノチューブは,(1)通常の量子細線とはトポロジカルに異ること,(2)2次元グラファイト上で電子が自由電子とは非常に異なった運動をすること,のために非常に興味深い性質を示す.実際有効質量近似では電子の運動はニュートリノに対する2行2列のWeylの方程式で記述される.ただし,円筒を一周したときに波動関数にはナノチューブの螺旋構造により決まる余分の位相がつき,その結果ナノチューブが1次元金属になるか半導体になるのかが決まる.この研究では,カーポンナノチューブや新しいナノチューブ物質の興味深い特異な伝導現象と光応答を理論的に解明し予言することを目的とする. 本研究で理論的に明らかにしたい課題は,(1)金属的なナノチューブに存在する完全透過チャネルの及ぼす効果,(2)多層ナノチューブの層間相互作用の効果,(3)ナノチューブ先端の電子状態特にトポロジカル欠陥に伴う局在状態,(4)バンド構造に対する多体効果と光スペクトルに対すう励起子効果,である.本年度はこれらの課題の中で以下のような研究を行い,重要な知見を得た. [1]長波長光学フォノンに対する連続体模型と電子-格子相互作用のハミルトニアンを導出し,電子格子相互作用による光学フォノンの振動数変化と寿命に対応する幅を計算し,ナノチューブの金属・半導体及び太さによる変化を理論的に予言するとともに,金属ナノチューブにおけるアハラノフ--ボーム効果による寿命の大きな変化を予言した. [2]電場がナノチューブ軸垂直方向に偏光した光に対する吸収スペクトルを励起子効果を計算し,反電場効果により吸収強度が1/5〜1/20程度に減少するが,励起子吸収ピークが現れることを示した.計算結果は最近の実験結果とよい一致を示す. [3]金属ナノチューブで,後方散乱の禁止と完全伝導チャネルの存在する場合の伝導率の振動数依存性について数値計算を行い,それぞれに対応して,伝導率が振動数0にデルタ関数型で発散する可能性が高いことを示した.
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Research Products
(6 results)