2005 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒時間分解2光子光電子分光による半導体表面における励起電子の動力学の研究
Project/Area Number |
16540285
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 慎一郎 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (00227141)
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Keywords | 半導体表面 / 時間分解分光 / フェムト秒レーザー / 2光子光電子分光 / Si(001)(2x1) |
Research Abstract |
本年度はフェムト秒時間分解2光子光電子分光(TR2PPE)装置に、温度・構造など、試料の物理的パラメータを制御・評価できる装置を組み合わせたシステムの構築を行い、これを用いて主としてSi(001)表面においてついて研究し、以下のような結果を得た。 1)STM(走査トンネル顕微鏡)とTR2PPEを組み合わせ、表面の局所的な構造とダイナミクスの関連についての相関を調べることができるようになった。このシステムを用い、Si(001)(2x1)表面におけるC欠陥が表面ダイナミクスに与える影響に関して研究した。その結果は以下のようなものである;a)C欠陥数増加とSi(001)表面のフェルミレベルピニングなどの表面電子状態の変化が分かった。b)C欠陥増加によって、表面状態励起電子・バルク励起電子ともに見かけ上の減衰が速くなり、互いの比も変化した。これは、表面での電子消滅寿命τがC欠陥の数に対して線形に減少すると仮定することで定量的に説明された。 2)試料を液体窒素温度まで冷却できる装置を作成し、温度可変実験が行えるようにした。この装置を用いて、Si(001)(2x1)表面における励起電子ダイナミクスの温度依存性、特にa)(2x1)とc(4x2)の表面構造相転移と励起電子ダイナミクスの関連、b)表面励起子と同定されている、低温でのみ観測される状態("X")のダイナミクスについて調べた。この結果、a)D_<down>電子のダイナミクスは温度に依存して強く変化すること、b)この変化とX状態の発現に直接の関係は見られないこと、などが分かった。これらの結果は、・表面状態間、バルク状態間遷移確率、・バルク→表面状態間遷移確率、・表面状態の消滅速度といった要因の温度依存性によって説明された。
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Research Products
(1 results)