2004 Fiscal Year Annual Research Report
相殺問題を除去した非線形感受率によるナノ物質光学過程の理論的研究
Project/Area Number |
16540287
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安食 博志 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (60283735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 紀久夫 福井工業大学, 工学部, 教授 (60013489)
石原 一 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教授 (60273611)
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Keywords | 3次非線形応答 / 共振器 / 共振器QED / 光学カー効果 |
Research Abstract |
相殺問題を除去した非線形感受率を適用するナノ物質の舞台として,共振器中の励起子活性媒質にターゲットをしぼった.これまでそのような系の光学応答は,光の共振器モードを古典的に取り扱う方法と量子論的に扱う方法(共振器QED)の2種類があった.半古典論の計算は非線形応答を調べる上で不十分と考えられる.ただし,共振器QEDの取り扱いではハミルトニアンを現象論的に与えている点で不満足である.そこで,共振器QEDに基づく非線形光学応答に関する基礎的な研究を行い,これを適用して非線形応答の最適化条件を調べた.以下にこれら結果をまとめる. (1)共振器QEDの現象論的なパラメータと共振器を特徴づけるパラメータ(「鏡」の透過率や反射率)の関係を明らかにした. (2)3次の非線形応答を半古典論で計算するときの妥当性を議論した.横緩和がある場合には弱閉じめ領域でも半古典論から正しい結果が得られないことを解析的に明らかにした.強閉じ込め領域では,どの様な場合でも半古典論は誤った結果を導く. (3)量子ドットを共振器に埋め込んだ系で,巨大な非線形応答を得るための最適化条件を導いた.これまで,共振器のQ値が高く,ドットの振動子強度が大きいほど,非線形性は大きくなると考えられていたが,そうではないことを明らかにし,弱閉じ込め領域の場合でさえも巨大な非線形応答を得るための(Q値,振動子強度,縦緩和,横緩和に関する)最適化条件が存在することを示した.また,その最適化条件を解析的に求めた.非線形光の絶対値が最大となるのは強結合領域で,共振器からの光の漏れによるスペクトル幅と,縦緩和と横緩和によるスペクトル幅が同程度になるところにある.一方,光学カー効果に関係する非線形感受率の実部は,中間的な結合領域で最大となることも明らかにした.
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Research Products
(2 results)