2006 Fiscal Year Annual Research Report
相殺問題を除去した非線形感受率によるナノ物質光学過程の理論的研究
Project/Area Number |
16540287
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安食 博志 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助手 (60283735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 紀久夫 豊田理化学研究所, フェロー (60013489)
石原 一 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (60273611)
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Keywords | 3次非線形応答 / 共振器 / 共振器QED / 励起子分子 / 相関光子対 |
Research Abstract |
昨年度は,ハイパーパラメトリック散乱による量子井戸からの相関光子対の生成効率が共振器により非常に増強されることを示した.今年度はその相関光子対の性質を調べ,さらに,共振器中の量子ドットから生成される相関光子対についても研究した.どちらの場合も,共振器QEDに特徴的な2粒子励起状態が重要な役割を果たすことを示した. (1)共振器-量子井戸系からの相関光子対 強結合領域では,相関光子対が共振器ポラリトンの上枝を介して生成される場合と,下枝を介して生成される場合の2通りがある.そこで,相関した光子による蛍光スペクトルを計算し,下枝を介して生成される場合の方が圧倒的に大きいことを見いだした.この結果は,相関光子対を高効率に検出するときに役立てることができる. (2)共振器-量子ドット系からの相関光子対 量子井戸の場合と異なり,量子ドットの場合は相関光子対だけでなく,そうでない光子も生成される.ところが,量子ドット中の励起子の振動子強度が十分大きく,共振器のQ値が非常に大きい場合には,フォトン・ブロッケードの効果により相関光子対だけが生成されることを明らかにした.また,量子井戸の場合と同様に,2通りの生成過程が存在するが,そのうちの1つの生成過程では入射光子と異なる振動数の相関光子対が生成される.このような相関光子対は相関していない光子とスペクトル的に分離することが可能であり,純度の高い相関光子対を検出する上で都合がよい.蛍光スペクトルを計算した結果,このような相関光子対が生成される割合は決して小さくないことを示した.
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Research Products
(4 results)