2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540291
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高根 美武 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助教授 (40254388)
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Keywords | 量子輸送現象 / 量子細線 / コンダクタンス / ランダム行列理論 / シンプレクティック・クラス / アンダーソン局在 / 完全透過チャネル / 超行列理論 |
Research Abstract |
乱れた量子細線系における絶対零度でのコンダクタンスの振る舞いを,シンプレクティック・クラスに注目して研究を進めている.「シンプレクティック・クラス」には,時間反転対称性は備えているがスピン回転対称性が破れている系が属する.近年の研究により,シンプレクティック・クラスにおける電気伝導はチャネル数の偶奇性に強く依存することが明らかとなった.チャンネル数が奇数の場合,透過確率が1となる完全透過チャネルがひとつだけ存在することが証明された.チャネル数が偶数の場合,このような完全透過チャネルは現れない.この完全透過チャネルの有無は電気伝導特性に強く影響すると期待される.当研究代表者は,サンプル長が長い極限における(アンサンブル平均をほどこした)コンダクタンスの振る舞いをランダム行列理論と超行列理論に基づいて検討し,チャネル数の偶奇性が電気伝導特性に与える影響を明らかにした. 今年度は,ランダム行列理論と超行列理論の結論の正当性を確認するために,二次元正方格子上の強結合モデルを用いた数値シミュレーションを行った.その結果,チャネル数が奇数の場合,サンプル長の増大に伴って平均コンダクタンスが1に漸近することを見出した.つまり,アンダーソン局在は生じない.偶数チャネルの場合,アンダーソン局在が顕在化し,平均コンダクタンスは0に漸近する.さらに,奇数チャネルの場合の方が,平均コンダクタンスの減少がより速やかであることを見出した.これらの振る舞いは,ランダム行列理論と超行列理論の結論と定性的に一致する.
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Research Products
(1 results)